Admesy製品のフリッカー(ちらつき)の測定|株式会社 ティー・イー・エム

TECHNICAL INFORMATION

技術情報

2021.11.05

色彩輝度測定機

テーマ

Admesy製品のフリッカー(ちらつき)の測定

1. はじめに

1.1 フリッカー

フリッカー(ちらつき)は光を発する全ての光源から発生しうるものであり、フリッカーの測定はディスプレイおよび照明業界で一般的に使用されています。フリッカーは周波数領域の影響であり、人間や動物に不快感を与える場合があります。場合によっては機器の寿命を縮める可能性もあります。フリッカーが人間に引き起こす可能性のある影響は次の通りです。

  • てんかん発作を含む神経系の疾患
  • 頭痛、倦怠感
  • かすみ目、眼精疲労
  • 動作の明らかな遅滞
  • 目に見える業務のパフォーマンス低下
  • 注意散漫

 

LCDにおいてのフリッカーは、Vcomオフセットによって引き起こされる現象であり、だいたいフレーム周波数の半分の周波数になります。
照明においては、高周波のフリッカーと、ストロボ効果と電源の不良によって引き起こされることが多い低周波のフリッカーと区別します。
ディスプレイ測定でのフリッカーは、目に見えるフリッカーとしてのみ定義をします。計算方法はローパスフィルターの形式が組み込まれます。次のいずれかになります。

  • ハードウェアのローパスフィルター
  • ソフトウェアのローパスバターワースフィルター
  • FFTのソフトウェアで行われる乗算(JEITA/VESA方式)

 

フリッカーは、人間の視覚補正センサー(CIE1931輝度応答)と適切な受光角度を用いて測定する必要があります。基本的には人間の目と同じ様に光源を測定する必要があります。そうしないと測定結果が私達の見た目と相関しません。現在、複数のフリッカー計算方法が定義されています。全てに長所と短所がありますので、それについて説明します。

1.2 LCDディスプレイのフリッカー画像

LCDでのフリッカーはディスプレイの駆動技術にも依存します。これは一部の画像にはフリッカーが表われ、他の画像には表示されないということです。点や線の様な画面と画像がもたらす様々な影響について考えてみましょう。表示可能な画像は沢山ありますが、これらは全てディスプレイの駆動技術に依存します。ディスプレイメーカーは評価用に適切な画像を選択できるようにしなければなりません。
Admesyでは駆動用デモソフトウェアにLCD用に複数のデモ画像の表示機能を持たせています。これらはデモ用としてのみ提供しており、測定対象のディスプレイには適切ではない場合もあります。それについてはディスプレイメーカーが適切な画像を用意するか、少なくともその画像がどの様に見える必要があるかを説明する必要があります。
注:IDMS(http://icdm-sid.org/)では新たなフリッカー測定用の動画を規定しています。
  しかし、これはパターンジェネレーターで常に使用できるというものではありません。

1.3 ちらつきの原因

LCDでのフリッカーは、LCDのDCオフセットによって引き起こされる一般的な問題であり、共通電圧(Vcom)を変更することで調整することができます。
照明やディスプレイでのフリッカーの根本的な原因の1つには光源(またはLCDのバックライト)の電源が影響している場合もあります。もしくはAC信号または不安定な動作が目に見えるフリッカーを引き起こす場合もあります。

2. 高周波数と低周波数の測定

2.1 はじめに

高周波を測定するには、高いサンプルレートとハイパスな電子機器が必要です。一部の機器では高いサンプルレートを備えていることがありますが、最大周波数に関しては電子機器で制限されています(ハードウェアローパスフィルター等)。低周波数を測定するには、低周波数の複数のフレームをキャプチャするために測定に長めの時間をかける必要があります。

2.2 Admesy機器の低周波数と高周波数

フリッカーが測定できる全てのAdmesy機器には信号をキャプチャするための2つのパラメータがあります。

  • サンプル数 (Number of samples)
  • Delay

各測定機のサンプルレートは異なりますがパラメータの使用法は同じです。「サンプル数」を増やすと測定時間が長くなります。「Delay」が増えると合計測定時間も増加します。

例1:より高い周波数のみを測定したい場合は、Delay機能は不要なので0に設定します。測定が安定するようなサンプル数を選択します。
例2:1Hzなどの低周波数を測定する場合は、大量のサンプルは必要ありませんが、測定時間を長くするためにDelayの設定が必要です。例えば取得するサンプルを2000に設定し、Delayを50に設定してみます。
例3 :設定を組み合わせることで高周波数と低周波数の両方を測定できます。例えばCronusの場合、サンプル数を100,000に設定し、Delayを20に設定します。これにより合計時間は約8秒になります。

3. フリッカーの計算方法

3.1 はじめに

現在のフリッカーの計算方法は、ディスプレイ業界と照明業界で異なります。さらに複数の非公式な計算方法が存在しています。 Admesyでは現在、ディスプレイ測定に関して次の規格をサポートしています。

  • Contrast Min/Max method
  • Contrast RMS method
  • JEITA method
  • VESA method

 

同様に照明測定用として次の規格をサポートしています。

  • フリッカーパーセンテージ
  • フリッカーインデックス

3.2 一般的なフリッカー計算

一般的にフリッカーは、信号のACレベルと信号のDCレベルの比率として定義されます。

フリッカー(ちらつき)の測定01
図1 信号のACおよびDCレベル
式1

勿論、これは単純化されたモデルです。 AC成分はさまざまな方法で計算できます。 従ってフリッカー測定には複数の定義があります。 次の章ではディスプレイおよび照明業界で使用されている既存のフリッカー計算方法について詳しく説明します。

Admesyの全ての機器は生の信号を出力できるため、PCソフトウェアにそれを実装することで常に新しい計算方法を追加できます。更に一部の機器では、単純なmeasure:flickerコマンドを使用して、ファームウェアから現在定義されている計算を直接行えます。

3.3 LCD コントラスト min/max方式

この方法では、信号の最大値と最小値からACレベルを計算します。
DCレベルは信号の平均値として定義されます。

フリッカー(ちらつき)の測定03
図2 信号のACおよびDCレベル
フリッカー(ちらつき)の測定04
式2
フリッカー(ちらつき)の測定05
式3

長所
・シンプル:機器のファームウェアに常に編集することができます。
短所
・より高い周波数をフィルタリングするにはハードウェアまたはソフトウェアのいずれかにローパスフィルターが必要です。

3.4 LCD コントラスト RMS方式

LCDコントラストRMSの計算方式は、信号のAC値を信号のRMS(二乗平均平方根)値として計算します。 DCレベルは、信号の平均として定義されます。

フリッカー(ちらつき)の測定06
図3 信号のRMSおよびDCレベル
フリッカー(ちらつき)の測定07
式4 は信号の平均値に等しくなります
フリッカー(ちらつき)の測定08
式5 は信号の平均値に等しくなります

長所
・適度な速さ(但し、min/max方式よりは遅い)
・適度にシンプル:機器のファームウェアに常に編集することができます。
 
短所
・より高い周波数をフィルタリングするにはハードウェアまたはソフトウェアのいずれかにローパスフィルターが必要です。

3.5 LCD JEITA方式

JEITA方式は周波数領域の計算に基づいています。 FFTを使用して、測定信号のACおよびDCレベルを決定して信号をFFTに変換します(図5)。

フリッカー(ちらつき)の測定09
図4 信号のRMSおよびDCレベル
フリッカー(ちらつき)の測定10
図5 FFT

FFTを計算した後、周波数を人間の目の感度に補正するために重み係数を適用します。
グラフ(図6)および以下の表(表1)にて、その定義が示されています。

フリッカー(ちらつき)の測定11
図6
フリッカー(ちらつき)の測定12
表1

これは測定した信号ではP1が30Hzでは-3dBまで減らす必要があることを意味します。 60Hz成分では-40dBまで減らす必要がありますが、30Hz成分よりも低いため、最終的な計算には使用されません。前のページ(P0とP1)で確認された振幅は係数によって減少し、最終結果は次のようになります。

フリッカー(ちらつき)の測定13
式6
フリッカー(ちらつき)の測定14
式7
フリッカー(ちらつき)の測定15
式8

長所
・ローパスフィルターを追加する必要がない。
短所
・最も遅い方式。組み込みシステムでは、遅すぎて使用できない場合があります。
FFT計算用に高速CPUが必要です。
・サンプル数が少ない場合、これが常に最も安定した方法であるとは限りません。比較的速度が遅いため、生産環境には適していません。

4. 照明: フリッカーパーセンテージとフリッカー指数

4.1 光源

照明では、使用する電力は主電源から直接または電源を介して使用されます。電源はフリッカーの根本的な原因となる可能性があり、光源が電力の変化に速く反応するほど、その影響が表れます。蛍光灯や白熱灯では照明自体の反応が遅いため影響は低いですが、それでもこれらの照明にフリッカーがないわけではありません。

フリッカー(ちらつき)の測定16
図7 白熱灯:フリッカーパーセンテージ6.6%、フリッカーパー指数0.02
フリッカー(ちらつき)の測定17
図8 磁気バラスト蛍光管:フリッカーパーセンテージ28.4%、フリッカー指数0.07
フリッカー(ちらつき)の測定18
図9 CFLランプ:フリッカーパーセンテージ5.1%、フリッカー指数0.01
フリッカー(ちらつき)の測定19
図10 LEDランプ:フリッカーパーセンテージ54.7%、フリッカー指数0.17

LED照明を見ると、LEDは電源の変化に非常に速く反応するため、フリッカーの影響ははるかに大きくなります。 LEDはDC電流で駆動されることが理想的ですが、これは主電源からは利用できないため、コストがかかる電子部品が必要となります。

4.2 フリッカーのパーセンテージとフリッカー指数の定義

パーセントフリッカーの長所は0〜100%のスケールを使用できることです。これは、文献ではピークツーピークコントラストまたはマイケルソンコントラストとも呼ばれます。フリッカーインデックスの長所は0〜1.0のスケールを使用できることです。この規格はあまり知られておらず、パーセントフリッカー方式ほどは使用されていません。どちらの方法も、周期波形の1サイクルの分析に基づいていますが、LCDのフリッカー測定方法での最大の相違点である周波数成分は考慮していません。次のグラフ図形は、光信号の1サイクルのキャプチャをもとにフリッカーパーセンテージとフリッカー指数を計算する方法を表しています。

フリッカー(ちらつき)の測定20
図11 光の変動サイクル1つとフリッカーの関係例
フリッカー(ちらつき)の測定21
式10
フリッカー(ちらつき)の測定22
式11
フリッカー(ちらつき)の測定23
図12 フリッカー指数とパーセンテージの例

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