画像処理ができる協働ロボットについて
TECHNICAL INFORMATION
技術情報
2025.06.03
協働ロボット
画像処理ができる協働ロボットについて
弊社で取り扱っているTMロボットは、世界初の2Dカメラ標準搭載協働ロボットです。2Dカメラ標準搭載といった特徴を活かすためにも、TMロボットには画像処理機能が充実しております。
本記事では、TMロボットのSWバージョン2.16にて使用できる画像処理機能一覧と画像処理機能を使用した一例をご紹介いたします。
1. 画像処理機能一覧
TMロボットが提供している画像処理は全部で35種類あり、大きく5種類に分類されています。
- 強化(コントラスト強化、カラープレーン抽出、形態、平滑化、画像マスク、しきい値、反転)
- 検索(パターンマッチング(形状)、パターンマッチング(画像)、アンカー、基準マークマッチング、ブロブファインダ、画像のアライメント、外部オブジェクト検出)
- 識別(バーコード/QRコード、マルチ1Dバーコード、OCR2、特定の色領域サイズ、カラークラシファイア、ポーズ変動(形状)、ポーズ変動(画像)、参照画像を減算、ラインバリ、円バリ、OCR、文字列一致、外部分類)
- 測定(ゲージ、キャリパー、カウント(形状)、カウント(画像)、カウント(ブロブ)、カウント(エッジ)、番号OCR)
- AI+(AI+分類、AI+物体検出、AI+セマンティック分割、AI+異常検出)
例:画像機能選択画面(強化)
全ての画像処理機能はGUI上から選択して設定を行うことができ、プログラムコードを一切記述する必要はありません。また、画像処理機能を実行した画像に対して、追加の画像処理機能を実行することも可能です。設定画面などは次の「機能を使用した一例」にてご紹介いたします。
2. 機能を使用した一例
赤色もしくは白色のサイコロの目の数に応じた動作を行いたい場合、4種類の画像処理を組み合わせることで実現できます。
2-1. サイコロの色の判別
最初に、赤色のサイコロか白色のサイコロかの判別を行います。色の判別には「カラークラシファイア」機能を使用します。カラークラシファイアでは、色の判別を行いたい領域を選択し、実物を用いて判別したい色を登録します。赤色のサイコロを用いて「Red」、白色のサイコロを用いて「White」と登録を行うと、以下の画像のような判別が行えるようになります。
赤のサイコロ
白のサイコロ
2-2. 不要な領域の削除
次に、サイコロの目の数を判別する上で不要となる領域を削除します。不要な領域の削除には「画像マスク」機能を使用します。画像マスクでは、範囲の選択を行った後、範囲の内側か外側のどちらを塗りつぶすかを選択することができます。今回、サイコロ以外の範囲は不要となりますので、以下の画像のようにサイコロの外側を塗りつぶしています。
2-3. 二値化
サイコロの中でも目の領域とそうでない領域がありますので、これらを明示的に分離します。明示的な領域の分離には「しきい値」機能を使用します。しきい値では、設定した値を境に黒色か白色のいずれかに画像の色を分けます。今回、サイコロの目の領域を白色、それ以外の領域を黒で分けたかったため、以下の画像のように0~128までの画素値の領域を白、129~255までの画素値の領域を黒としています。
2-4. 目の数のカウント
最後に、サイコロの目を数えます。ここまでの処理で、サイコロの目の領域とそうでない領域を明示的に分けておりますので、「カウント(ブロブ)」機能を使用して目の数を数えることができます。カウント(ブロブ)では、指定した値の範囲内の画素の塊の数を数えることができます。以下の画像のように、目の領域に合わせて値を設定することで、目の数を数えております。
途中からは白色のサイコロに対しての説明をしましたが、赤色のサイコロに対しても同様の処理を行うことで、赤色もしくは白色のサイコロの目の数に応じた分岐をすることができます。このような処理を行うことで、この先の動作として、例えば、サイコロの色と目の数に分けてパレタイズを行うことができます。
ロボット側で画像処理ができることで、協働ロボットを活用できる範囲を大幅に広げることができます。同じ機能でも異なる使い方ができ、様々な組み合わせを全てGUI上で簡単に設定することができますので、非常に扱いやすいつくりとなっています。是非、協働ロボット導入時にはTMロボットをご検討いただけたらと思います。
今回はTMロボットの2Dカメラを用いた画像処理機能をご紹介いたしましたが、TMロボットでは3Dカメラを使用することもできます。3Dカメラを用いた処理も2Dカメラの時と同様に全てGUI上で行うことができます。3Dカメラを用いることで更に活用できる範囲を広げることができますので、是非合わせてご検討いただけたらと思います。