技術情報
2024.03.29
マイクロオプティクス
NASA PACEプロジェクトへのマイクロレンズアレイの採用
海洋探査の革新的技術:NASAはPACEプロジェクトの立ち上げにより海洋、大気の調査を決行しています。この人工衛星の軌道から“海の色”を測定するミッションは、NASAの科学衛星がスペースX社のファルコン9により宇宙に送られた2024年2月8日から順調な滑り出しを見せています。搭載された機器の一部であるマイクロレンズアレイはINGENERIC社の製品です!
NASAのPACE(“Plankton, Aerosol, Cloud, Ocean Ecosystem”)ミッションは、海洋と大気の相互作用をより深く理解するために、科学者によって20年かけて取り組まれています。このミッションは2027年の3月までかけて実施される予定で、世界中の気候システムにおいて重要な役割を果たしているため、今後数か月間はプランクトン、エアロゾルと雲の調査に集中する予定です。
(参照:NASA GSFC, https://pace.oceansciences.org/gallery_more.htm?id=1766)
PACEは以下の3つの最新機器を搭載しています:Ocean Color Instrument (OCI)、 Spectro-polarimeter for Planetary Exploration (SPEXone)、 Hyper Angular Research Polarimeter (HARP2)です。これらの機器はそれぞれ海の色、エアロゾルの濃度、大気中の雲の反射やその他関連するパラメーターの調査を目的としています。集められたデータは、例えば植物プランクトンによる炭素吸収やエアロゾルや雲が気候に及ぼす影響を調査することなどで、科学者が気候の調整における海洋の役割をより深く理解するために役立ちます。
OCIは世界の海洋のハイパースペクトル調査に使用され、紫外、可視と近赤外スペクトルを、以前の海の色の測定よりもより細かい解像度でカバーします。この機器は以前のいくつかの選択された波長でしかデータを収集できなかったマルチスペクトル機器とは対照的に、5nm間隔で350~850nmのスペクトルを調査します。
OCIの中心的なコンポーネントはINGENERIC社のマイクロレンズアレイで、これは短波赤外の受信光を高効率でガラスファイバーバンドルに結合します。OCIの開発期間中、精密ガラスモールドで製造されたINGENERIC社のマイクロレンズアレイはエッチング製法のアレイよりもはるかに優れていることを証明し、これらは当初のNASAの要求を超えており人工衛星の光学系の光ファイバーに海洋の表面からの光が結合する際の効率の向上に多大な貢献をしていきます。
PACEミッションのような革新的なプロジェクトにINGENERIC社のマイクロレンズアレイが採用されることの意義について、CEOであるStefan Hambücker博士は以下のようにコメントしています:
“当社はNASAのサプライヤーとしての地位を証明し、製品の品質の高さで彼らに感銘を与えることができたことを誇りに思います。PACEミッションにおける当社のマイクロレンズアレイの採用は、技術的卓越性だけでなく、地球の調査と保全に対する当社の共通の取り組みを明確に示しています。海洋と大気の複雑な関係について理解を深め、最終的にはより持続可能な未来に貢献するプロジェクトに参加できることを光栄に思います。”
■本件に関連するケーススタディ、論文は以下のリンクよりご覧ください。
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