技術情報
本記事では、産業用モノクロカメラをUV(紫外線)カメラに加工する技術を紹介します。
2021年9月に、ソニーセミコンダクタソリューションズ社より、UV(紫外線)波長域に対応したグローバルシャッター機能搭載CMOSイメージセンサー 『IMX487』の発表がありました。
『IMX487』は、UVカメラの既存市場である半導体パターン欠陥検査はもちろん、スピードが求められるリサイクルに向けたプラスチックの選別作業、屋外におけるインフラ点検など、これまで可視光領域・紫外領域対応センサーで実現できなかったアプリケーションへの対応が期待されています。2024年現在、複数の産業用カメラメーカーから同センサーを搭載したUV(紫外線)カメラがリリースされています。しかし、センサー性能(約813万画素・最大194fps対応)を余すことなく引き出すためには、転送帯域が広いインターフェース(5GigE・10GigE・CoaXPress)といった高価なハイスペックカメラでのラインアップとなるため、気軽にUV(紫外線)波長を利用したアプリケーション開発を行うにはハードルがあると感じます。
UV(紫外線)センサーを製造する場合、2つの方法があります。
- UV(紫外線)光透過率の高い材料の使用・フォトダイオード周辺構造をUVに特化した構造および裏面照射型センサー構造
- 可視光モノクロセンサーに対してUV(紫外線)光を可視光に変換するコーティングを行う
1.の方法はUV(紫外線)の感度・解像度などセンサー性能を高めることができますが、製造コストが高くなります。2.の方法で製造したUV(紫外線)センサーは、1.の方法で製造したセンサーに比べて性能は劣りますが、安価に製造することができます。
コーティング前とコーティング後の、 UV(紫外線)光に対するセンサーの反応は下図となります。
また2.の加工では、UVコーティング剤のUV(紫外線)光を緑色光に波長シフトする特性を利用していますので、波長帯490-550 nmでの感度が高い産業用モノクロカメラを用いた方が、より感度が高いUV(紫外線)波長域対応カメラとなりますので、カメラ選びの参考にしてください。
弊社では、市場にあるUV(紫外線)カメラの導入に対してハードルを感じたり、低価格でUV(紫外線)用途のアプリケーション開発に取り組みたいカメラユーザー向けに、2.の加工法を用いた『UV(紫外線)カメラへの加工サービス』の提供を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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